駄目人間逹 の Wall Of Death

鬱患者の駄目人間が好きな音楽のコトをダラダラ綴るブログ

Storm / DEVIN TOWNSEND BAND 音の洪水に飛び込め

Accelerated Evolution

エクストリーム・ミュージックを愛している。エクストリーム・ミュージックだけを愛しているわけではなく、様々な音楽を愛している。今のところ楽しめた経験がないのはユーロ・ビートだけなのだけど、わたしが聴いた楽曲がたまたま刺さらなかっただけの可能性はあって、まだ開拓の余地があるといえるのかもしれない。

エクストリーム・ミュージックと一言にいっても本当に様々なスタイルが存在しているから、あまり意味のない言葉ともいえる。ただ、それなりにラウドでクレイジーな音楽世界であるという意味で、ぼんやりとその方向性を示すコトはできていると思う。

エクストリーム・ミュージックにおける声の存在は、単純に「歌」という表現手段にとどまらない。時には地の底を這うような呻き、時には断末魔のような絶叫、またある時は憤怒の咆哮、そして時には美しい旋律の歌。そんな様々な側面を持つ声という楽器を、DEVIN TOWNSENDというミュージシャンは一人で全て表現してしまう。

デビューは鮮烈だった。かの変態(褒め言葉)ギタリスト、STEVE VAIのバンド・プロジェクト「VAI」のアルバムにおいて、まったく無名の新人ヴォーカリストとしてその卓越した歌声を披露してくれた。彼の歌は不思議だ。叫んでいるのに旋律がある。多くの場合で歌が「叫び」に転じた瞬間、音程というコントロールを失いがちであるのに対して彼の場合、明らかに叫んでいながらピッチ・コントロールを失うコトなく、旋律を奏で続けるのだ。VAIのアルバム「Sex And Religion」で聴かれた歌はメタリックではありつつも、エクストリーム・ミュージックといった印象ではなかったけど、彼の歌は美しくも情熱的で、かつ情緒的な激しさを兼ね備えていた。

Steve Vaiとのプロジェクトを終えた彼は、その後様々なバンドや個人名義で作品を次々と発表している。きっとアイデアが次々とあふれ出すように生まれてきてしまうんじゃないだろうか。とにかく多産なミュージシャンなので、ファンとしては追いかけるのが楽しくも大変だ。毎度わたしは、嬉しい悲鳴を上げながら作品を購入している。

そんな中で、最もわたしの好みにフィットし溺愛、いや溺聴したのがこの2003年発表の1stアルバム「Accelerated Evolution」だ。1stアルバムといっても「この名義での」というコトだけどね。このアルバムは最初から最後まで、音の洪水ともいえる分厚くダビングを重ねた音像に支配されている。こういった音楽を日頃から聴かない方々にしてみれば始まった瞬間に「うわっ」と思うかもしれない。

でも待って欲しい。

音の洪水の中に身を委ねてみて欲しいんだ、一度でもいいから。このアルバムは特にわかりやすく「キャッチーで分かりやすい」んだよね。ヘヴィでありながらも表情豊かな彼の歌声は、だんだんとヒート・アップしていく。やがて叫びとなりながら、しかしバックの演奏と絶妙なアンサンブルを構築して、激しいのにメロディアスな風合いを感じるコトができる。いやメロディアスなどという言葉からイメージされるものとも違う。楽器の音、声、が一つの塊となって大きなうねりを作り出している。

正直いえば、この曲だけを切り出して聴いたところで、このアルバムの価値は伝えられないように思う。1曲目から順に、その音を聴く人をどんな風に導いていくのか綿密に計算されていると思うからね。だからわたしとしては、アルバムそのものを強く勧めたい。今回紹介した「Storm」でちょっと気になったのなら、ぜひアルバムを楽しんで欲しい。音の洪水に巻き込まれる快感がきっと待っているから。

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